レッスン 2 15分

プロンプトの解剖学

効果的なプロンプトを構成する5つの要素と、それぞれの役割・組み合わせ方を学びます。

プロンプトを分解する

前回のレッスンで「書く」から「設計する」への転換が大事だとお伝えしました。では、何を設計するのか? プロンプトの構成要素です。

料理のレシピに「材料」「手順」「火加減」「盛り付け」があるように、プロンプトにも明確な構成要素があります。

5つの要素

効果的なプロンプトは、以下の5つの要素で構成されています。

1. 役割(Role)

AIに「誰として」回答するかを定義します。

あなたは、日本のBtoB SaaS企業で10年の経験を持つ
マーケティング責任者です。

役割を設定すると起きること:

  • 語彙が変わる — マーケターならROI、CVR、ファネルなどの専門用語を自然に使う
  • 視点が変わる — 財務担当者ならコスト観点、人事担当者なら人材観点で回答する
  • 判断基準が変わる — 弁護士ならリスク重視、起業家なら機会重視のアドバイスになる

2. 文脈(Context)

AIに背景情報と状況を伝えます。

当社は従業員100名のIT企業です。
来期からリモートワークを全面導入する予定ですが、
管理職の半数がリモートワークに不安を感じています。

文脈が具体的であるほど、AIの回答は的確になります。「マーケティング戦略を考えて」と「年商5億円、都内のD2Cアパレル企業のSNSマーケティング戦略を考えて」では、回答の質が別物です。

3. タスク(Task)

AIに「何をしてほしいか」を明確に伝えます。

あいまい明確
分析して売上データを前年同月比で分析し、3つの改善施策を提案して
まとめて議事録を「決定事項」「アクションアイテム」「次回議題」に分類して
アイデアを出して20代女性向けSNSキャンペーンのアイデアを10個、実施コスト付きで

コツ: 動詞を具体的にする。「考えて」より「提案して」「比較して」「分類して」の方が結果がシャープになります。

Quick Check: 「このメールを良くして」というタスク指示の問題点は何ですか?(「良い」の基準があいまいで、具体的な改善方向がない)

4. 制約(Constraints)

出力に条件をつけます。

制約:
- 300字以内で
- 専門用語を使わず中学生にもわかる表現で
- メリットとデメリットの両方を含めて
- 敬語レベル:ビジネス敬語

制約があると、AIは「何を含めて、何を省くか」を判断できます。制約がないと、AIは「とりあえず全部入れよう」として冗長な回答になりがちです。

5. 出力形式(Output Format)

回答の「形」を指定します。

出力形式:
| 施策 | 期待効果 | コスト | 実施難易度 |
の表形式で出力してください。

よく使う出力形式:表、箇条書き、番号付きリスト、JSON、マークダウン、メール形式。

Quick Check: データの比較には表、手順の説明には番号付きリスト。では、ブレインストーミングに最適な出力形式は?(箇条書き)

5要素を組み合わせた完全なプロンプト

実際に5つの要素を使ってプロンプトを設計してみましょう。

[役割]
あなたは、IT企業の人事部長として10年の経験を持つ専門家です。

[文脈]
当社は従業員200名のSaaS企業です。直近1年で離職率が15%に上昇し、
特にエンジニア部門の退職が目立ちます。退職面談では「成長機会の不足」
が最多の理由です。

[タスク]
エンジニアの定着率を改善するための施策を5つ提案してください。

[制約]
- 各施策は実施コスト(低・中・高)と期待効果の時間軸を含めてください
- 日本のIT企業の慣行を踏まえてください
- 年間予算500万円以内で実現可能な施策にしてください

[出力形式]
| 施策名 | 概要 | コスト | 効果までの期間 | 優先度 |
の表形式で、優先度が高い順に並べてください。

5要素すべてが揃うと、AIは「何を」「誰の視点で」「どんな状況に」「どんな条件で」「どんな形で」回答すべきかが明確になります。

要素の省略:いつ全部必要で、いつ省略できるか

毎回5要素すべてを書く必要はありません。

状況最低限必要な要素
簡単な質問タスクのみ
ビジネスメールタスク + 制約(敬語レベル)
分析レポート役割 + 文脈 + タスク + 出力形式
重要な提案資料5要素すべて

判断基準: 出力の品質が重要なほど、要素を増やす。チャットでの気軽な質問なら1〜2要素で十分です。

Key Takeaways

  • プロンプトは5つの要素で構成される:役割、文脈、タスク、制約、出力形式
  • 役割はAIの「視点」、文脈は「状況理解」、タスクは「何をするか」を定義する
  • 制約と出力形式で、回答の品質と形をコントロールする
  • タスクの重要度に応じて、必要な要素数を調整する

Up Next

5要素の中でも特に奥が深い「役割(ロール)」。次のレッスンでは、AIのペルソナを詳細に設定して、まるで専門家チームを使いこなすような技法を学びます。

理解度チェック

1. プロンプトの5要素のうち、AIの「視点」を決めるのはどれ?

2. 以下のプロンプトに足りない要素は? 「マーケティング戦略を考えて」

3. 「300字以内」「箇条書きで」「敬語で」は、5要素のどれに該当する?

すべての問題に答えてから確認できます

まず上のクイズを完了してください

関連スキル