プロンプトのデバッグ
AIが期待通りの結果を出さないとき、原因を特定し修正するデバッグ技術を学びます。
うまくいかないプロンプトを救う技術
🔄 Quick Recall: レッスン6で5つのプロンプトパターンを学びました。でも、パターン通りに書いてもうまくいかないことがあります。プログラマーがコードをデバッグするように、プロンプトもデバッグできます。
「なんか違うんだよな」で終わらせず、「何がどう違うのか」を特定して修正する。これがプロンプトのデバッグです。
デバッグの3ステップ
ステップ1:ギャップの特定
まず「期待」と「現実」の差を言語化します。
期待:経営陣向けの簡潔なサマリー(300字)
現実:技術的な詳細を含む長文(1000字以上)
→ ギャップ:長さのオーバー + 読者レベルの不一致
ステップ2:原因の特定
よくある原因は5つに分類できます。
| 原因カテゴリ | 症状 | 典型例 |
|---|---|---|
| あいまいさ | 的外れな回答 | 「良い報告書を書いて」 |
| 情報不足 | 一般的すぎる回答 | 文脈や背景情報がない |
| 情報過多 | 焦点がぼやけた回答 | 条件が20個以上ある |
| 矛盾 | 一貫性のない回答 | 「簡潔に、でも詳細に」 |
| 形式不指定 | 使いにくい形式 | 出力フォーマットが未指定 |
ステップ3:ピンポイント修正
全書き直しではなく、原因に対応する要素だけを修正します。
Before:「マーケティング戦略を考えて」
原因:あいまいさ + 情報不足
After:「BtoB SaaS(年商3億円)のコンテンツマーケティング戦略を、
月間予算50万円、3ヶ月の期間で提案してください。
KPIとROIの根拠を含めてください。」
✅ Quick Check: AIが「箇条書きで5つ出して」という指示に対して、長い段落で7項目を出してきました。何が問題ですか?(制約が十分に強調されていない。「必ず箇条書き形式で、正確に5つに限定して」とより明確にする)
よくある失敗パターンと修正法
失敗1:回答が長すぎる
原因: 長さの制約がない、または弱い
❌ Before:
レポートを書いてください。
✅ After:
レポートを300字以内で書いてください。
各セクションは100字以内に収めてください。
追加テクニック: 「以下の形式で、各項目2行以内で」のように、構造レベルで長さを制限する。
失敗2:回答が浅い・一般的
原因: 文脈が足りない
❌ Before:
営業チームの生産性を上げる方法は?
✅ After:
背景:
- BtoB SaaS企業の営業チーム(15名)
- 現在の商談数:月平均40件/人
- 成約率:15%(業界平均20%)
- 主な課題:初回商談から見積もり提出までに平均10日かかる
この状況で、成約率を20%に改善するための具体的な施策を
3つ提案してください。各施策に期待効果と実施手順を含めてください。
失敗3:回答がブレる(実行ごとに違う)
原因: 制約が弱い、またはあいまいな表現
❌ Before:
おすすめのプロジェクト管理ツールを教えて。
✅ After:
以下の条件で最適なプロジェクト管理ツールを3つ推薦してください。
条件:
- チーム規模:10名
- 予算:月5万円以内
- 必須機能:ガントチャート、タスク依存関係
- 日本語対応必須
出力形式:
| ツール名 | 月額料金 | 主要機能 | 推薦理由 |
失敗4:指示の一部が無視される
原因: プロンプトが長すぎて、AIが一部の指示を見落としている
対策:
- 最重要の指示を冒頭と末尾に配置する(AIは先頭と末尾に注意を払いやすい)
- 重要な制約に番号を振る
- 不要な情報を削って簡潔にする
✅ 重要な制約を目立たせる:
【最重要】必ず以下の3点を含めてください:
1. 数値データに基づく根拠
2. 実施スケジュール
3. 想定リスクと対策
[タスクの詳細...]
※ 上記3点が欠けている場合は、回答として不完全です。
✅ Quick Check: 5要素をすべて含む長いプロンプトを書いたのに、AIが「制約」を無視しました。どうしますか?(制約を冒頭にも繰り返すか、プロンプトを分割して2回に分けてタスクを依頼する)
デバッグ用の万能テクニック
テクニック1:AIに自己評価させる
以下のタスクに回答した後、自分の回答を以下の基準で自己評価してください。
基準:正確性(1-5)、具体性(1-5)、実用性(1-5)
評価が3以下の項目があれば、自分で修正してください。
テクニック2:段階的に制約を追加する
一度に全制約を入れるのではなく、段階的にフィードバックで追加します。
[1回目] 基本のタスクだけ
[2回目] 「もっと具体的に。数字を含めて」
[3回目] 「300字以内に要約して」
テクニック3:AIにプロンプトを分析させる
以下のプロンプトの改善点を指摘してください。
改善点ごとに、修正前と修正後の例を示してください。
プロンプト:
[うまくいかないプロンプト]
Key Takeaways
- デバッグは「ギャップ特定 → 原因特定 → ピンポイント修正」の3ステップ
- よくある原因は5つ:あいまいさ、情報不足、情報過多、矛盾、形式不指定
- 全書き直しより、原因に対応する要素だけを修正する方が効率的
- 重要な制約は冒頭と末尾に配置する
- AIに自己評価させたり、プロンプト自体を分析させるメタ手法も有効
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最終レッスンです。ここまで学んだすべてのテクニックを統合して、実務で使える「本番プロンプト」を設計するプロジェクトに取り組みます。
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