明快に編集する
余計な言葉を削り、一文一文に意味を持たせる。
編集のマインドセット
🔄 前のレッスンで、読み手に伝わる構成を学んだ。今回は、その構成の中の一文一文を磨く「編集」の技術に入る。
文章力は推敲力だ。
初稿はアイデアを出すためのもの。編集は、その粗いアイデアを明快なコミュニケーションに変えるプロセスだ。
多くの人はこのステップを飛ばす。一回書いてそのまま送る。当然、文章の質は上がらない。
なぜ「削る」と良くなるのか
不要な一語一語が:
- メッセージを薄める
- 読み手の時間を奪う
- 自信のない印象を与える
- 本当のポイントを隠す
短ければいいわけではない。でも「引き締まっている」のは常に良いことだ。 すべての言葉が居場所を稼いでいる状態を目指す。
削るべき言葉
フィラーワード(何も加えない言葉):
- 非常に、本当に、ちょっと、実は
- 基本的に、要するに、簡単に言うと
- ある意味、いわば、いわゆる
- 若干、多少、そこそこ
- たぶん、おそらく(不確かではないとき)
Before:「先日の件について、基本的にちょっとフォローアップしたかったのですが、いわば確認のような形で…」 After:「先日の件について確認です。」
冗長表現(同じことを二度言っている):
- 「過去の経歴」→「経歴」
- 「最終結果」→「結果」
- 「事前の準備」→「準備」
- 「今の現状」→「現状」
- 「一番最初」→「最初」
弱い強調(強そうに見えて中身が薄い):
- 「とても素晴らしい」→「素晴らしい」
- 「完全に終わった」→「終わった」
- 「すごくいいと思う」→「いいと思う」
AIで編集する
基本の明快さチェック:
この文章を明確さと簡潔さの観点で編集してください。
[テキストを貼り付け]
具体的に:
1. 不要な言葉を削除する
2. 複雑な文を簡潔にする
3. 冗長表現を排除する
4. 私の声と意味はそのまま残す
思い切った圧縮:
意味を損なわずに30%短くしてください。
[テキストを貼り付け]
容赦なく削ってください。何が削れるか見せてください。
文単位の改善:
以下の文を改善してください:
[3〜5文を貼り付け]
各文について:
- 元の文
- 何が問題か
- よりクリアな代替案
を示してください。
編集の段階を分ける
一度に全部直そうとしない。 フォーカスを変えて、複数パスで磨く:
パス1:フィラーを削る 通して読み、「非常に」「ちょっと」「基本的に」「本当に」をすべて消す。
パス2:文を簡潔にする 長すぎる文を分割する。不要な節を削る。一文一意。
パス3:動詞を力強くする 弱い動詞を強い動詞に置き換える。「検討を行う」→「検討する」。
パス4:声に出して読む つっかえるところは直す。不自然に聞こえるところは不自然だ。
弱い動詞→強い動詞
日本語でありがちな弱い動詞パターン:
| 弱い | 強い |
|---|---|
| 検討を行う | 検討する |
| 決定に至る | 決定する |
| 改善を図る | 改善する |
| 調査を実施する | 調査する |
| 対応を取る | 対応する |
| 確認作業をする | 確認する |
| 議論の場を設ける | 話し合う |
「〜を行う」「〜に至る」「〜を図る」のパターンに注意。 たいていの場合、直接的な動詞に置き換えられる。
受動態の問題
受動態は「誰が」を隠す:
「ミスが発生しました。」(誰の?) 「決定がなされました。」(誰が?) 「変更が予定されています。」(誰が?)
能動態はたいていクリア:
「私たちがミスをしました。」 「チームが決定しました。」 「私が変更を予定しています。」
受動態を使うとき:
- 行為者が不明または重要でない場合
- 意図的に責任を和らげたいとき
- 行為そのものに焦点を当てたいとき
✅ 確認チェック: 自分の最近のメールを1通開いて、フィラーワードと弱い動詞を数えてみよう。いくつ見つかっただろうか?
でもデフォルトは能動態。 より明確で、短く、直接的だ。
文の長さ
文の長さに変化をつける。
長い文は問題ない。でも全部長いと読み手は追えなくなる。短い文はパンチがある。リズムが生まれる。混ぜる。
危険信号:
- 一文に「〜して」「〜で」「〜が」が何度も出てくる
- 声に出すと一息では読みきれない
- 読み返さないと意味が取れない
対処: 分割する。一文一意。
音読テスト
最強の編集ツール:自分の耳。
自分の文章を声に出して読む。すると聞こえる:
- ぎこちない言い回し
- 長すぎる文
- 繰り返しの言葉やリズム
- 足りない接続
- 自分でも退屈に感じる箇所
自分がつっかえるなら、読み手もつっかえる。 つっかえた箇所を直す。
編集チェックリスト
送る前に確認:
- 最初の文で主題が伝わるか?
- 10%削れないか?
- フィラーワードは残っていないか?
- 弱い動詞を強められないか?
- 能動態にすべき受動態はないか?
- 声に出して読んだか?
- 忙しい読み手が10秒のスキャンでポイントを掴めるか?
エクササイズ:一段落を半分に削る
この水膨れした段落を半分にしてみよう:
「先日来の議論にて取り上げましたマーケティング予算の件に関しまして、様々な検討を重ねた結果、また各方面の関係者とも意見交換を行いまして、最終的な結論としましては、以前の会議でご相談させていただいた新システムの導入を正式に進めさせていただく方向で決定に至りましたので、今後の進め方について改めてご相談させていただければと考えている次第でございます。」
編集例を見る
編集後: 「新システムの導入を正式に決定しました。今後の進め方についてご相談させてください。」
何を削ったか:
- 「先日来の議論にて取り上げました」→ 文脈は相手も知っている
- 「様々な検討を重ねた結果」→ 結論があれば十分
- 「各方面の関係者とも意見交換を行いまして」→ プロセスの詳細は不要
- 「最終的な結論としましては」→ 結論を言えば「最終的」は自明
- 「以前の会議でご相談させていただいた」→ 相手は覚えている
- 「進めさせていただく方向で決定に至りました」→「決定しました」
- 「考えている次第でございます」→「させてください」
同じ意味で、大幅に短く。
Key Takeaways
- 編集が文章をクリアにする。このステップを飛ばさない
- まずフィラーを削る:非常に、ちょっと、基本的に、本当に、ある意味
- 冗長表現を排除する:今の現状→現状、事前の準備→準備
- 弱い動詞を強化する:「検討を行う」→「検討する」
- デフォルトは能動態。受動態は「誰が」を隠す
- 文の長さに変化をつけてリズムを作る
- 声に出して読む——耳が目の見逃しを捕まえる
- 編集パスは分けて、各パスで一つのことに集中する
Up next: 次のレッスンでは、読み手に合わせるスタイル術を学ぶ。
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