データストーリーテリング
数字を記憶に残るストーリーに変える。データプレゼンテーションの3つの型と可視化の原則。
数字は忘れられる。ストーリーは残る
🔄 前のレッスンで、伝わるスライドの書き方を学んだ。今回は、データを扱うプレゼンで最も重要な技術——数字をストーリーに変換する方法を学ぶ。
3日前のランチに何を食べたか覚えているだろうか? たぶん覚えていない。
では、初めて自転車に乗れた日のことは? 覚えている人が多いはずだ。
この違いが、データとストーリーの違いだ。人間の脳はストーリーを記憶するように進化している。数字は忘れる。
データストーリーテリングの3要素
効果的なデータプレゼンテーションには3つが必要だ:
1. データ(What): 何が起きたかの事実 2. ビジュアル(See): それを目で見える形にする 3. ナラティブ(Why + So What): なぜ重要で、何をすべきか
3つのうち1つでも欠けると、プレゼンは弱くなる:
- データ + ビジュアルだけ(ナラティブなし)= 「で?」
- データ + ナラティブだけ(ビジュアルなし)= 退屈
- ビジュアル + ナラティブだけ(データなし)= 信頼性ゼロ
数字を人間的にする
大きな数字や抽象的な統計は、そのままでは頭に入らない。身近なスケールに翻訳する。
| 抽象的な数字 | 人間的なスケール |
|---|---|
| 5テラバイト | フルHD映画250万本分のデータ |
| 0.003%の確率 | 東京ドーム満員の5万人から1人を選ぶ確率 |
| 年間3,650時間 | 毎日10時間、365日——つまり1日の約42% |
| 1兆円の市場 | 日本人1人あたり約8,000円 |
| 30%のコスト削減 | 10人のチームで3人分の人件費 |
AIで数字を翻訳する
以下の数字を、経営層が直感的に理解できる
身近なスケールや比喩に変換してください:
[数字リスト]
条件:
- 日本のビジネスパーソンに馴染みのある比喩を使う
- 各数字に2つの変換例を提示
- 簡潔に(各15文字以内)
✅ Quick Check: 次のプレゼンで使うデータの中で、最も重要な数字を1つ選ぼう。それを「人間的なスケール」に変換するとどうなるか?
データプレゼンテーションの3つの型
型1:ビフォー/アフター
変化を示す最もシンプルな型。
Before: [改善前の状態] → After: [改善後の状態]
「カスタマーサポートの平均応答時間は、AI導入前48時間→導入後4時間に短縮。」
効果的な場面: 施策の効果、改善の成果、投資のリターン
型2:ギャップ分析
理想と現実の差を示す。
Target: [目標] vs Actual: [実績] → Gap: [差分と原因]
「売上目標10億円に対して実績は8.5億円。1.5億円のギャップの80%はエンタープライズ解約に起因。」
効果的な場面: 目標との乖離、課題の提示、予算要求
型3:トレンド+転換点
時系列の変化の中で重要な転換点を示す。
Trend: [推移] → Inflection: [何が変わった] → Implication: [意味]
「月次売上は2年間成長トレンドだったが、7月を境に減速。この転換点は競合の新製品投入と一致する。」
効果的な場面: 戦略転換の提案、早期警告、トレンド分析
チャートでストーリーを語る
強調の技術
データの中で最も重要なポイントを視覚的に際立たせる:
色のコントラスト: 注目すべきデータだけ色付け。他はグレー。
棒グラフで7本の棒があり、最も重要な1本だけ青色。
残り6本はすべてライトグレー。
→ 視線が自然にその1本に集まる。
アノテーション(注釈): チャート上に直接結論を記載する。
折れ線グラフの転換点に矢印と「ここで施策Aを実施」のラベル。
→ 聴衆はグラフを読み解く必要がなくなる。
ハイライト領域: 重要な範囲を背景色で示す。
時系列グラフのQ3部分だけ薄い黄色の背景。
→ 「この期間に注目してください」を視覚的に伝える。
AIでチャートの改善点を指摘してもらう
以下のチャートの説明から、改善点を提案してください:
チャートの内容:[何を示しているか]
現在の問題:[何が伝わりにくいか]
伝えたいメッセージ:[何を聴衆に理解してほしいか]
以下の観点で改善案を提示してください:
1. チャートタイプの変更は必要か
2. 色の使い方
3. アノテーションの追加
4. 不要な情報の削除
Key Takeaways
- 数字は忘れられる。ストーリーは記憶に残る
- データストーリーテリングの3要素:データ、ビジュアル、ナラティブ
- 抽象的な数字を身近なスケールに翻訳する
- データプレゼンの3型:ビフォー/アフター、ギャップ分析、トレンド+転換点
- チャートの強調技術:色のコントラスト、アノテーション、ハイライト
- AIで数字の翻訳やチャート改善の提案を得られる
Up next: 次のレッスンでは、オーディエンス別プレゼン術——経営層、技術者、社外向けなど場面に合わせたプレゼンの調整方法を学ぶ。
理解度チェック
まず上のクイズを完了してください
レッスン完了!