レッスン 5 14分

データストーリーテリング

数字を記憶に残るストーリーに変える。データプレゼンテーションの3つの型と可視化の原則。

数字は忘れられる。ストーリーは残る

🔄 前のレッスンで、伝わるスライドの書き方を学んだ。今回は、データを扱うプレゼンで最も重要な技術——数字をストーリーに変換する方法を学ぶ。

3日前のランチに何を食べたか覚えているだろうか? たぶん覚えていない。

では、初めて自転車に乗れた日のことは? 覚えている人が多いはずだ。

この違いが、データとストーリーの違いだ。人間の脳はストーリーを記憶するように進化している。数字は忘れる。

データストーリーテリングの3要素

効果的なデータプレゼンテーションには3つが必要だ:

1. データ(What): 何が起きたかの事実 2. ビジュアル(See): それを目で見える形にする 3. ナラティブ(Why + So What): なぜ重要で、何をすべきか

3つのうち1つでも欠けると、プレゼンは弱くなる:

  • データ + ビジュアルだけ(ナラティブなし)= 「で?」
  • データ + ナラティブだけ(ビジュアルなし)= 退屈
  • ビジュアル + ナラティブだけ(データなし)= 信頼性ゼロ

数字を人間的にする

大きな数字や抽象的な統計は、そのままでは頭に入らない。身近なスケールに翻訳する。

抽象的な数字人間的なスケール
5テラバイトフルHD映画250万本分のデータ
0.003%の確率東京ドーム満員の5万人から1人を選ぶ確率
年間3,650時間毎日10時間、365日——つまり1日の約42%
1兆円の市場日本人1人あたり約8,000円
30%のコスト削減10人のチームで3人分の人件費

AIで数字を翻訳する

以下の数字を、経営層が直感的に理解できる
身近なスケールや比喩に変換してください:

[数字リスト]

条件:
- 日本のビジネスパーソンに馴染みのある比喩を使う
- 各数字に2つの変換例を提示
- 簡潔に(各15文字以内)

Quick Check: 次のプレゼンで使うデータの中で、最も重要な数字を1つ選ぼう。それを「人間的なスケール」に変換するとどうなるか?

データプレゼンテーションの3つの型

型1:ビフォー/アフター

変化を示す最もシンプルな型。

Before: [改善前の状態] → After: [改善後の状態]

「カスタマーサポートの平均応答時間は、AI導入前48時間→導入後4時間に短縮。」

効果的な場面: 施策の効果、改善の成果、投資のリターン

型2:ギャップ分析

理想と現実の差を示す。

Target: [目標] vs Actual: [実績] → Gap: [差分と原因]

「売上目標10億円に対して実績は8.5億円。1.5億円のギャップの80%はエンタープライズ解約に起因。」

効果的な場面: 目標との乖離、課題の提示、予算要求

型3:トレンド+転換点

時系列の変化の中で重要な転換点を示す。

Trend: [推移] → Inflection: [何が変わった] → Implication: [意味]

「月次売上は2年間成長トレンドだったが、7月を境に減速。この転換点は競合の新製品投入と一致する。」

効果的な場面: 戦略転換の提案、早期警告、トレンド分析

チャートでストーリーを語る

強調の技術

データの中で最も重要なポイントを視覚的に際立たせる:

色のコントラスト: 注目すべきデータだけ色付け。他はグレー。

棒グラフで7本の棒があり、最も重要な1本だけ青色。
残り6本はすべてライトグレー。
→ 視線が自然にその1本に集まる。

アノテーション(注釈): チャート上に直接結論を記載する。

折れ線グラフの転換点に矢印と「ここで施策Aを実施」のラベル。
→ 聴衆はグラフを読み解く必要がなくなる。

ハイライト領域: 重要な範囲を背景色で示す。

時系列グラフのQ3部分だけ薄い黄色の背景。
→ 「この期間に注目してください」を視覚的に伝える。

AIでチャートの改善点を指摘してもらう

以下のチャートの説明から、改善点を提案してください:

チャートの内容:[何を示しているか]
現在の問題:[何が伝わりにくいか]
伝えたいメッセージ:[何を聴衆に理解してほしいか]

以下の観点で改善案を提示してください:
1. チャートタイプの変更は必要か
2. 色の使い方
3. アノテーションの追加
4. 不要な情報の削除

Key Takeaways

  • 数字は忘れられる。ストーリーは記憶に残る
  • データストーリーテリングの3要素:データ、ビジュアル、ナラティブ
  • 抽象的な数字を身近なスケールに翻訳する
  • データプレゼンの3型:ビフォー/アフター、ギャップ分析、トレンド+転換点
  • チャートの強調技術:色のコントラスト、アノテーション、ハイライト
  • AIで数字の翻訳やチャート改善の提案を得られる

Up next: 次のレッスンでは、オーディエンス別プレゼン術——経営層、技術者、社外向けなど場面に合わせたプレゼンの調整方法を学ぶ。

理解度チェック

1. データストーリーテリングの3要素は?

2. データを人間的に伝えるために最も効果的な方法は?

3. チャートで最も重要なデータポイントを強調する方法として正しいのは?

すべての問題に答えてから確認できます

まず上のクイズを完了してください

関連スキル