AIで変わる仕訳・記帳業務
AIによる仕訳の自動分類、勘定科目マスターの活用、乱雑な銀行データの整理方法を学ぶ。
仕訳分類という「時間泥棒」
経理担当者なら誰もが知っている。銀行連携で200件の明細が流れ込む。大半は毎月同じ取引先・同じ勘定科目。でもその中に、摘要が意味不明なものや分割が必要な取引が混ざる。
手動の分類に数時間。AIなら数分——正しく設定すれば。
🔄 Quick Recall: 前回のレッスンで、AIが会計業務に与えるインパクトを学んだ。今回はその最初の実践——最も時間を消費する仕訳分類のAI化。
仕訳分類のプロンプト設計
AIの分類精度を決めるのは「文脈」。勘定科目マスター、業種、クライアント固有のルールをAIに伝える:
あなたは記帳アシスタントです。
以下の勘定科目マスターを使って仕訳を分類して:
勘定科目マスター:
- 1000 現金預金
- 1200 売掛金
- 2000 買掛金
- 4000 売上高
- 5000 売上原価
- 5100 給与手当
- 5200 事務用品費
- 5300 地代家賃
- 5400 広告宣伝費
- 5500 支払手数料
- 5600 旅費交通費
- 5700 通信費・ソフトウェア
- 5800 保険料
- 5900 雑費
クライアント情報:マーケティング会社、従業員12名
ルール:
- 不明な場合は [要確認] フラグを付けて理由を説明
- 1つの取引が複数科目にまたがる場合は分割
- 消費税の区分を注記
取引明細:
日付 | 摘要 | 金額 | 種類
2026-01-15 | Adobe Creative Cloud | ¥89,000 | 出金
2026-01-15 | A社 売上入金 | ¥500,000 | 入金
2026-01-16 | アスクル | ¥15,000 | 出金
2026-01-16 | タクシー代 | ¥4,200 | 出金
2026-01-17 | 給与振込 | ¥2,800,000 | 出金
✅ Quick Check: なぜ勘定科目マスターを渡すことが重要か? AIにマスターを渡さなければ、自社の会計システムに存在しない汎用的な科目名で仕訳される。
乱雑なデータの前処理
実際の銀行データは乱雑。摘要が切れていたり、形式がバラバラだったり。AIで前処理する:
銀行エクスポートの摘要が乱雑です。
整理して標準化して:
ルール:
- 切り詰められた摘要から実際の取引先名を特定
- 参照番号や余分なコードを削除
- 特定できない摘要は [不明] フラグ
- 定期的な取引をグループ化
生データ:
カ)アマゾンジャパン GK 0116
POS スタバ 新宿南口
ACH フリー ギンコウ フリコミ
振込入金 エー・ビー・シー
モバイルSuica チヤージ
取引先ルールの蓄積
毎月の取引の大部分は同じ取引先。ルール表を作りAIに参照させる:
クライアントの仕訳分類ルールを作成して。
毎月再利用できるようにルックアップテーブルとして:
既知の取引先と勘定科目:
- Amazon → 通常は 5200 事務用品費(摘要に「AWS」なら 5700 ソフトウェア)
- スターバックス、飲食店名 → 5600 旅費交通費(接待なら交際費)
- freee、給与振込 → 5100 給与手当
- Adobe、Slack、Zoom、Google → 5700 通信費・ソフトウェア
- クライアントからの入金 → 4000 売上高
このルール表を保存し、翌月のプロンプトに貼り付ける。AIが定期取引を即座に処理し、新規・異常な取引だけをあなたが確認する。
月次バッチ処理
月末はすべてをまとめて処理:
[クライアント名]([業種])の今月の取引を処理して:
セットアップ:
1. 勘定科目マスター:[貼り付け]
2. 先月の分類ルール:[貼り付け]
3. ルールにない新しい取引先はフラグ
取引明細:
[月次データを貼り付け]
出力形式:
1. 分類済み仕訳リスト(日付 | 取引先 | 勘定科目 | 金額)
2. 勘定科目別集計(借方・貸方合計)
3. 新規取引先リスト(推奨科目付き)
4. [要確認] 項目
5. パターンと異なる取引の指摘
Key Takeaways
- AI仕訳分類の精度は「勘定科目マスター+業種+取引先ルール」の文脈提供で決まる
- 取引先ルール表を月ごとに蓄積すると翌月の精度が向上する
- 乱雑なデータは分類前にAIで前処理する——ゴミを入れればゴミが出る
- 月次バッチ処理で数百件の仕訳を1つのプロンプトで処理できる
- フラグ付き項目の確認と新規取引先の分類はあなたの専門知識が必要
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