AIはどう動いている?
大規模言語モデルの仕組みを理解して、なぜプロンプトの書き方が結果を左右するのかを学びます。
AIの正体:超高性能な「予測マシン」
前回のレッスンで、プロンプトの出し方次第でAIの結果が大きく変わることを見ました。でも、なぜそうなるのか? それを理解するには、AIの仕組みを知る必要があります。
ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIは、大規模言語モデル(LLM: Large Language Model) と呼ばれる技術で動いています。
一言で表すと:次に来る言葉を予測する超高性能マシンです。
たとえば「今日の天気は」と入力すると、AIは「晴れ」「曇り」「良い」など、次に来る確率の高い言葉を計算します。そしてその言葉の後にまた次の言葉を予測する。これを繰り返して、自然な文章を組み立てていきます。
✅ Quick Check: AIは情報を「検索」しているのでしょうか、それとも「予測」しているのでしょうか?
トレーニング:本を何億冊も読んだ学生
LLMは、インターネット上の膨大なテキスト — ウェブページ、書籍、論文、コード — を使って訓練されています。何十億もの文章のパターンを学習することで、「この文脈では、こう続くのが自然」という感覚を身につけています。
わかりやすいたとえで言うと:
図書館の本を全部読んだ(でも内容を暗記はしていない)とても頭の良い学生。質問されると「こういうパターンの話をたくさん読んだから、こう答えるのが自然かな」と考えて回答する。
ここで重要なポイント:
- リアルタイムで検索しているわけではない — 訓練時のデータに基づいて回答を生成
- 丸暗記しているわけでもない — パターンを学習している
- 「理解」しているかは議論がある — 統計的パターンマッチングとも言える
ハルシネーション:AIが自信満々に間違える理由
AIの最大の弱点の一つが**ハルシネーション(幻覚)**です。存在しない情報を、あたかも事実であるかのように自信たっぷりに語ってしまう現象です。
なぜこれが起きるのか? AIの目標は「もっともらしい文章を生成すること」であって、「正しい事実を述べること」ではないからです。
例: 「2025年のノーベル文学賞受賞者は?」と聞くと、AIは実際の受賞者を知らなくても、「もっともらしい人名」を生成してしまうことがある。
対策:
- 重要な事実は必ず自分で確認する
- AIに「確信度が低い部分は教えて」と指示する
- 特に数値、日付、引用は要注意
温度(Temperature)パラメーター
AIの回答のランダム性を制御する「温度」という設定があります:
| 温度 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 低い(0.0〜0.3) | 一貫性が高く、予測可能 | データ分析、要約、翻訳 |
| 中間(0.4〜0.7) | バランスが良い | ビジネスメール、レポート |
| 高い(0.8〜1.0) | 創造的、多様な表現 | ブレスト、創作、アイデア出し |
ちなみに、普段のチャットでは温度を意識する必要はあまりありません。でも「なんかいつも似たような答えだな」とか「もっと自由に発想してほしいな」と思ったとき、温度の概念を知っていると便利です。
✅ Quick Check: 正確な議事録の要約と、新商品のキャッチコピーのブレスト。どちらに高い温度設定が適していますか?
トークンとコンテキストウィンドウ
AIは文章をトークンという単位で処理します。日本語の場合、1つの漢字や単語が1〜3トークン程度になります。
AIが一度に処理できるトークンの量をコンテキストウィンドウと呼びます。これは「AIの短期記憶」のようなもの。
| モデル | コンテキストウィンドウ |
|---|---|
| GPT-4o | 128,000トークン |
| Claude 3.5 | 200,000トークン |
| Gemini 1.5 Pro | 1,000,000トークン |
実務での意味:
- 会話が長くなりすぎると、最初の方の内容を「忘れる」
- 長い文書を一度に処理する場合、モデルの上限を意識する
- 重要な指示は会話の最初と最後に置くと効果的
Key Takeaways
- AIは「次の言葉を予測する」仕組みで動いている(検索ではない)
- 大量のテキストデータから言語のパターンを学習している
- 「もっともらしさ」を優先するため、事実と違うことを言う(ハルシネーション)場合がある
- 温度パラメーターで創造性と一貫性のバランスを調整できる
- コンテキストウィンドウ = AIの短期記憶。長すぎる会話は最初の内容を「忘れる」
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仕組みがわかったところで、次はいよいよ実践です。レッスン3では、プロンプトの基本パターンを学びます。「こう書けば、こう返ってくる」という法則性を掴むと、AIとのコミュニケーションが一気にスムーズになりますよ。
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