コンテキストとメモリ
AIに背景情報を効果的に渡し、会話の流れを活用して回答精度を上げる方法を学びます。
なぜコンテキストが重要なのか
🔄 Quick Recall: レッスン3で、良いプロンプトの4要素(役割・タスク・コンテキスト・制約)を学びました。今回は「コンテキスト」を深掘りします。
同僚に「あの件、どうなった?」と聞かれたら、「あの件」が何か知っていれば答えられますよね。でも何の話か覚えていなかったら? 的外れな回答をするか、「どの件ですか?」と聞き返すしかない。
AIも同じです。コンテキスト(背景情報)が多いほど的確な回答ができるし、少ないほどあいまいな回答になります。
コンテキストの3つのレベル
レベル1:タスクコンテキスト
一回のプロンプトの中に含める背景情報です。
当社は従業員50名のIT企業で、来期から新しい人事評価制度を導入します。
現在の課題は、評価基準が属人的で公平性に欠けること。
この背景を踏まえて、新制度の評価項目を5つ提案してください。
レベル2:会話コンテキスト
同じチャット内の過去のやりとりをAIが覚えている範囲です。
[1回目] 当社のマーケティング戦略について壁打ちしたい。ターゲットは30代女性...
[2回目] さっきの戦略をベースに、SNS広告のコピーを3パターン作って
[3回目] 2番目のコピーをもう少しカジュアルにして
会話が進むにつれ、AIは前のやりとりを参照して回答を調整します。
レベル3:システムコンテキスト
AIに事前に設定する「人格」や「ルール」です(システムプロンプトとも呼ばれます)。
あなたは日本の中小企業に精通した経営コンサルタントです。
常にデータに基づいた提案をしてください。
感情的な表現は避け、具体的な数字を含めてください。
✅ Quick Check: 3つのコンテキストレベルのうち、一番手軽に試せるのはどれですか?(タスクコンテキスト)
AIのメモリの限界
レッスン2で学んだコンテキストウィンドウを思い出してください。AIには「短期記憶」の上限があります。
会話が長くなると起きること:
- 最初の方の指示を「忘れる」(見えなくなる)
- トーンや方向性がブレ始める
- 同じことを繰り返し始める
対策:
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 指示を忘れる | 重要な指示を5〜10回のやりとりごとに再提示する |
| 話題がブレる | トピックごとに新しい会話を始める |
| 一貫性がなくなる | 「ここまでの方向性を維持して」と明示する |
実践テクニック:コンテキストの渡し方
テクニック1:ブリーフィングシート
長いプロジェクトの場合、最初に「ブリーフィングシート」を渡します:
# プロジェクトブリーフ
- 企業名:ABC株式会社
- 業種:食品メーカー
- 従業員数:200名
- 今回の目的:社内報のリニューアル
- ターゲット読者:全社員(平均年齢38歳)
- 予算:月50万円
- スケジュール:来月リリース
以降のやりとりでは、このブリーフを参照して回答してください。
テクニック2:段階的な指示
一度に全部を伝えるのではなく、段階的にコンテキストを追加していきます:
[1] まず方向性を確認 → [2] 詳細を追加 → [3] 調整
この方法だと、各ステップでAIの理解度を確認しながら進められます。
テクニック3:要約をリセットポイントにする
会話が長くなったら、AIに「ここまでの内容を要約して」と依頼。その要約を新しい会話の冒頭に貼り付けて再スタートすると、コンテキストを維持したまま会話をリフレッシュできます。
✅ Quick Check: 会話が30往復を超えてAIの回答がブレ始めました。最も効果的な対策は?(要約を取得して新しい会話で再スタート)
Key Takeaways
- コンテキストは3レベル:タスク、会話、システム
- AIの「記憶」には限界がある — 長い会話ほど初期の情報を忘れやすい
- 重要な指示は定期的にリマインドする
- ブリーフィングシートで最初にまとめて渡すと効率的
- 会話が長くなったら「要約 → 新規チャット」でリフレッシュ
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コンテキストの渡し方がわかったら、次は「出力フォーマット」です。表、箇条書き、メール形式、コード……AIの回答の形を自在にコントロールする方法を学びます。
理解度チェック
まず上のクイズを完了してください
レッスン完了!