高度なテクニック
Chain-of-Thought、Few-Shot、ロール設定など、AIの回答品質を飛躍的に高めるプロンプトテクニックを学びます。
基本の先にあるもの
🔄 Quick Recall: ここまでで、プロンプトの4要素(レッスン3)、コンテキスト管理(レッスン4)、出力フォーマット(レッスン5)、よくある失敗パターン(レッスン6)を学びました。基本はしっかり身についています。
ここからは、AI活用の上級者が使っている3つのテクニックを紹介します。どれも「知っているかどうか」で結果が大きく変わるものです。
テクニック1:Chain-of-Thought(思考の連鎖)
AIに「ステップバイステップで考えて」と指示するだけで、複雑な問題の回答精度が劇的に上がります。
なぜ効果があるのか? AIは一気に答えを出そうとすると、途中の論理を飛ばしてしまうことがあります。段階的に考えさせると、各ステップで正確さを維持できます。
普通のプロンプト:
月給30万円の社員を5人採用する場合の年間人件費を計算して。
Chain-of-Thoughtプロンプト:
月給30万円の社員を5人採用する場合の年間人件費を計算してください。
ステップバイステップで、以下を順番に計算してください:
1. 月給の合計
2. 年間の基本給合計
3. 社会保険料(約15%)
4. ボーナス(年2回、各1ヶ月分と仮定)
5. 最終的な年間人件費の合計
2つ目のプロンプトでは、AIが各ステップの計算過程を見せてくれるので、途中の間違いにも気づきやすくなります。
Chain-of-Thoughtが特に有効な場面:
- 数値計算を含む分析
- 原因の推論(なぜこの問題が起きたか)
- 比較検討(A案 vs B案の評価)
- 戦略の立案(現状分析 → 課題特定 → 対策案)
✅ Quick Check: 「新商品の価格設定をして」というプロンプトを、Chain-of-Thought方式に変えるとしたら、どんなステップを含めますか?(例:原価計算、競合価格調査、ターゲット層の支払い意思額、利益率設定)
テクニック2:Few-Shot(例示学習)
AIに「こういう形式で」と例を見せてから依頼する方法です。百の説明より、一つの良い例。
Zero-Shot(例なし):
商品レビューの感情分析をして。
Few-Shot(例あり):
以下の形式で商品レビューの感情分析をしてください。
例1:
レビュー:「配送が早くて助かりました。ただ箱が少し凹んでました」
感情:やや肯定的
理由:配送スピードへの満足が主だが、梱包への不満が一部ある
例2:
レビュー:「全然使い物にならない。返品します」
感情:否定的
理由:製品への強い不満と返品意思を明確に表明
---
では以下のレビューを分析してください:
「デザインは気に入ってるけど、バッテリーの持ちがもう少し良ければ完璧なのに」
例を2つ見せるだけで、AIは出力の形式、分析の粒度、判断基準を正確に理解します。
Few-Shotのコツ:
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 例は2〜3個で十分 | 多すぎるとコンテキストウィンドウを消費する |
| 例の品質を揃える | バラバラな形式だとAIが混乱する |
| 境界ケースを含める | 簡単な例だけでなく、判断が難しい例も入れる |
| 区切りを明確に | 例と本番の依頼を「—」で区切る |
✅ Quick Check: 社内の問い合わせメールを「技術的」「事務的」「緊急」に分類するFew-Shotプロンプトを作る場合、例をいくつ含めるのが理想的ですか?(各カテゴリ1つずつの3つ)
テクニック3:ロール設定(ペルソナ指定)
レッスン3で少し触れた「役割」の指定を、もっと深く使う方法です。
基本のロール設定:
あなたはマーケティングの専門家です。
詳細なロール設定:
あなたは、日本のBtoB SaaS企業で10年の経験を持つ
マーケティング部長です。特にコンテンツマーケティングと
SEO戦略に強みがあります。データに基づいた提案を重視し、
ROIを常に意識して回答してください。
詳細なロールを設定すると、回答の専門性、視点、語彙が自然に変わります。
ロール設定の組み合わせ例:
以下の3つの視点から、「リモートワーク全面導入」について意見を出してください。
1. 人事部長として:人材確保と社員満足度の観点から
2. 財務責任者として:コスト削減と生産性の観点から
3. 現場マネージャーとして:チーム管理とコミュニケーションの観点から
各視点200字以内で。
複数のロールを使い分けることで、一つの課題を多角的に分析できます。
3つのテクニックを組み合わせる
実務では、これらのテクニックを組み合わせて使うと最も効果的です。
あなたは人事コンサルタントです。(ロール設定)
以下の形式で従業員アンケートの自由回答を分析してください。(Few-Shot)
例:
回答:「上司との1on1が形骸化していて意味を感じない」
カテゴリ:マネジメント
深刻度:中
提案:1on1のアジェンダテンプレートを導入し、部下主導の運用に変更
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では以下の回答を、ステップバイステップで分析してください:(Chain-of-Thought)
1. まずキーワードを抽出
2. カテゴリを判定
3. 深刻度を評価
4. 具体的な改善提案を作成
回答:「在宅勤務の日に急なオンライン会議が多すぎて集中できない」
Key Takeaways
- Chain-of-Thought — 「ステップバイステップで」と指示するだけで、複雑な推論の精度が向上する
- Few-Shot — 2〜3個の良い例を見せると、AIが形式と品質を正確に再現する
- ロール設定 — 詳細な役割を指定すると、専門性と視点が自動調整される
- 組み合わせ — 3つのテクニックは併用可能。実務では組み合わせが最強
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