予算計画とスケジュール設計
組織の実行力を示す現実的な予算書と、審査員を納得させるプロジェクトスケジュールの作り方。
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🔄 Quick Recall: 前のレッスンでは、SMART目的とロジックモデルで申請書を構成しました。予算のすべての費目は、それらの目的と活動に紐づいている必要があります。活動に関係しない費用は予算に入れるべきではありません。
予算は「数字で語るストーリー」
事業計画が「何をするか」を説明し、予算が「本当にできる」を証明します。現実的で根拠のある予算は、審査員にとって組織の実行力を示す最も強力なシグナルです。
このレッスンのゴール:すべての費目に根拠を示す予算書と、綿密な計画を感じさせるプロジェクトスケジュールを作成できるようになる。
予算書の標準カテゴリ
ほとんどの助成金予算で使われるカテゴリ:
| カテゴリ | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 人件費 | スタッフの給与・賃金 | 事業責任者(常勤50%)、コーディネーター |
| 法定福利費 | 社会保険料等の事業主負担分 | 健康保険、厚生年金、雇用保険 |
| 旅費交通費 | 事業関連の移動費 | 現地訪問、研修参加 |
| 備品費 | 高額な設備 | パソコン、プロジェクター |
| 消耗品費 | 少額の物品 | 事務用品、教材、印刷物 |
| 外注費(委託費) | 外部への業務委託 | 評価コンサルタント、研修講師 |
| その他経費 | 上記に含まれない直接経費 | 通信費、会場費、謝金 |
| 間接経費(管理費) | 事務局の運営経費 | 通常は直接経費の10〜15% |
原則:すべての費目がプロジェクト活動に紐づいていること。 目的や活動との関連を説明できない費用は削除。
費目ごとの積み上げ方
各費目について4つを明記:
- 何の費用か: 具体的な内容
- いくらか: 金額と計算式
- なぜ必要か: プロジェクト活動との関連
- 算出根拠: 計算の過程を示す
例:
事業コーディネーター(常勤1名) — 4,200,000円
算出:月額350,000円 × 12か月
根拠:日常の事業運営管理、連携団体との調整、
事業スタッフの管理を担当。地域のNPO常勤職の
市場水準に基づく給与設定。
AIで予算書を下書き:
以下のプロジェクトの詳細な予算書を作成してください:
事業内容:[プロジェクトの説明]
期間:[月数/年数]
主な活動:[メインの活動リスト]
必要なスタッフ:[役割と概算の稼働割合]
活動場所:[地域]
費目別の予算書を作成:
1. 各役割の現実的な給与見積もり(日本のNPO水準)
2. 法定福利費(社会保険料の事業主負担分)
3. 必要な消耗品と教材
4. 外部委託サービス
5. 間接経費の見積もり
6. プロジェクト総額
すべての費目に算出根拠を示し、
簡潔な必要性の説明を付けてください。
✅ Quick Check: 予算の各費目について記録すべき4つの情報は何でしたか?「何」「いくら」「なぜ」「算出根拠」——この4つが揃っていない費目は審査員の疑問を招きます。
予算説明書(バジェットナラティブ)
予算説明書は、数字をストーリーに変えるセクション。主要な費用カテゴリごとに:
- 費用の内容
- 算出方法
- なぜ必要か
- 活動や目的との関連
予算説明書の例:
人件費(7,200,000円) 事業責任者(常勤50%、3,600,000円=年俸7,200,000円×0.5)が事業全体の監督、パートナー団体との連携、品質管理を担当。事業コーディネーター(常勤、3,600,000円)が日常運営、参加者の募集、データ収集を実施。給与水準は地域のNPO同等職種の市場水準に基づく。
AIで予算説明書を下書き:
以下の費目の予算説明書を書いてください:
[予算表を貼り付け]
各カテゴリについて:
1. 内容と必要性の説明
2. 算出方法の提示
3. 具体的なプロジェクト活動との関連付け
4. 自己負担分・マッチングファンドがあれば明記
予算書のよくある失敗
| 失敗 | なぜ問題か | 対策 |
|---|---|---|
| 端数のないキリ番ばかり | 500万円ぴったりは「見積もり」ではなく「推測」に見える | 算出根拠のある数字を:4,872,000円 |
| 法定福利費が抜けている | 人件費が非現実的に低く見える | 社会保険料の事業主負担分を含める |
| 間接経費がない | 経験不足、または持続不可能なモデルに見える | 助成元が認める率で計上 |
| 活動と無関係な費用 | 計画の甘さを疑われる | すべての費目を具体的活動に紐づける |
| 予算が低すぎる | 真のコストを理解していない | 地域の実勢価格をリサーチ |
| 予算が高すぎる | 水増しや無駄を疑われる | すべての費目を算出根拠で裏付け |
プロジェクトスケジュールの設計
スケジュールは「実施の順序を考え抜いている」ことを審査員に示す資料。
スケジュール例:
| 活動 | 1〜3月 | 4〜6月 | 7〜9月 | 10〜12月 |
|---|---|---|---|---|
| スタッフ採用・研修 | ● | |||
| 参加者募集 | ● | ● | ||
| プログラム実施 | ● | ● | ● | |
| データ収集 | ● | ● | ● | |
| 中間評価 | ● | |||
| 最終評価 | ● | |||
| 報告書提出 | ● | ● |
スケジュール設計の原則:
- スタッフ採用・研修を最初に配置(人がいなければ何も動かない)
- 事業開始前に参加者募集の時間を確保
- 評価を最後だけでなく中間にも設定
- 助成元が求める報告期限を含める
- 「実際にかかる時間」で見積もる——楽観的すぎるスケジュールは信頼を損なう
✅ Quick Check: スケジュールでプログラム実施前にスタッフ採用期間を設ける理由は?当たり前のようですが、多くの申請書が「初月から事業開始」と書いてしまう。採用、研修、体制構築に時間が必要なことを明示するのは、計画力の証明です。
自己負担分・マッチングファンド
多くの助成元が自己負担分(マッチングファンド)を求めます。
マッチングの種類:
- 現金マッチ: 団体の自己資金
- 現物マッチ: 物品、サービス、ボランティア時間の提供
- パートナー提供: 連携団体からのリソース
現物提供の評価額は慎重に:
- ボランティア時間:地域の同等業務の時給で算出
- 会場提供:市場の賃料相場
- 物品提供:市場の実勢価格
マッチングファンドも申請額と同じ精度で記録する。
やってみよう
練習用の予算書を作ってみましょう:
- 事業計画から主な活動をリスト
- 各活動に必要なリソースを特定(人、物、移動費など)
- 地域の実勢価格をリサーチ
- 算出根拠付きの費目別予算書を作成
- 人件費カテゴリの予算説明書を1段落で書く
- 12か月のスケジュール表を作る
概算レベルでも、予算を作ってみるとプロジェクトの規模感が現実的かどうかが見えてきます。
Key Takeaways
- 予算書はコスト表ではなく計画力の証明——すべての費目に算出根拠を示す
- 予算説明書で各費用の必要性を説明し、金額を具体的な活動・目的に結びつける
- キリ番の金額、法定福利費の欠如、活動と無関係な費用は信頼性を損なう
- スケジュールは採用・研修→募集→実施→評価の順で現実的に設計する
- 自己負担分・マッチングファンドも申請額と同じ精度で記録する
次のレッスン: レッスン6「心を動かす事業計画書の書き方」では、すべてのパーツを統合し、審査員が読み進める手を止められない文章の書き方を学びます。
理解度チェック
まず上のクイズを完了してください
レッスン完了!