AIで効率化する診療記録
SOAP記録、看護記録、退院サマリーをAIで効率的に作成。臨床判断を失わず記録時間を半減させるワークフロー。
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🔄 Quick Recall: 前回のレッスンでは、患者のヘルスリテラシーに合わせた説明の書き分けとティーチバック法を学んだ。今回は、医療者自身の記録作成——SOAP、看護記録、退院サマリーの効率化に取り組む。
記録に追われる現実
病棟看護師は1勤務あたり約1〜2時間を記録に費やす。医師はさらに多い。診療記録、看護記録、サマリー、申し送り——臨床判断はとっくに終わっているのに、それを「書く」作業に膨大な時間がかかる。
問題は臨床的な思考ではない。思考を適切な形式・言葉に変換する「書く」作業にある。ここがAIの出番。
テンプレート・ファースト戦略
毎回ゼロから書くのではなく、頻出パターンのテンプレートを先に作り、個別にカスタマイズする。
ステップ1:高頻度の記録タイプを特定
多くの医療者にとって、記録の80%は5〜10種類のパターンでカバーできる:
- 慢性疾患の定期フォロー
- 術後の評価記録
- 入院時病歴・身体所見
- 退院サマリー
- 看護勤務交代時のアセスメント
- リハビリ経過記録
ステップ2:各パターンのテンプレートを作成
以下の診療場面のテンプレートを作成して:
場面:[記録タイプ]
診療科・部署:[科名]
使用する形式:[SOAP / フォーカスチャーティング / 経時記録]
必要セクション:[列挙]
条件:
- 患者固有の情報は【 】で空欄にする
- 一般的な所見の選択肢を含める
- 施設の記録基準に合う用語を使う
- 実際の所見を記入しやすい構造で
※匿名化済みの情報のみ使用。個人情報は含めない。
ステップ3:テンプレートライブラリを構築
作成したテンプレートを保存し、毎回の記録作成時に該当するテンプレートを選んでカスタマイズする。白紙から書くのとテンプレートを修正するのとでは、所要時間が3倍以上違う。
✅ Quick Check: 自分が日常的に書く記録を思い浮かべよう。上位5つは何だろうか? それが最初に作るべきテンプレート。
SOAP記録の効率化
日本の診療記録で最も広く使われるSOAP形式。AIでテンプレートを作成する:
[診療科]の[主訴/受診目的]に対するSOAP記録の
テンプレートを作成して:
S(主観的情報):
この症状・疾患で典型的な問診項目を含め、
回答は【 】で空欄に
O(客観的情報):
標準的な診察所見とバイタルサインを含め、
正常値のベースラインと実際の所見欄を並記
A(アセスメント):
臨床推論の枠組みと鑑別の記載方法を含める
P(プラン):
一般的な治療介入、フォロー指示、患者指導を含める
【 】で患者固有の情報を空欄にして。
糖尿病定期フォローの例(出力イメージ):
S:定期フォロー。服薬【遵守状況】。
自覚症状【口渇・多飲・多尿・しびれ・視力変化】なし/あり。
自己血糖測定値 平均【値】(過去【期間】)。
食事【遵守状況】、運動【頻度・内容】。
O:BP【値】、HR【値】、BW【値】kg(前回比【増減】)
足背動脈【触知良好/減弱】、知覚【正常/低下】
HbA1c【値】%(前回【値】%、【日付】)
空腹時血糖【値】、脂質【値】、Cr【値】、eGFR【値】
A:2型糖尿病——【コントロール良好/不良】
HbA1c目標【値】%に対し【達成/未達】
P:1. 【薬剤名】【継続/変更/追加】
2. 食事・運動指導【内容】
3. 眼科/腎臓内科紹介【要/不要】
4. 次回検査:HbA1c【時期】
5. 次回受診【時期】
このテンプレートのカスタマイズは数分。ゼロから書くと10分以上かかる。
退院サマリーの効率化
退院サマリーは最も時間がかかる記録の一つ。AIで構造化する:
以下の退院サマリーのテンプレートを作成して:
病棟:[病棟名]
入院形態:[予定入院 / 緊急入院]
含めるセクション:
- 入院日・退院日・入院期間
- 入院時診断・退院時診断
- 入院経過の要約
- 実施した検査・処置
- 退院時処方(入院前からの変更点を明記)
- 退院時指示(活動制限、食事、自己管理)
- 外来フォロー予定
- 要注意症状(再受診の目安)
- 患者・家族への説明内容
【 】で患者固有の情報を空欄にして。
メモ書きから清書する場合も効果的:
以下のメモを上記テンプレートに沿った退院サマリーに
整理して:
[匿名化したメモ:
- 肺炎で5日間入院
- 抗菌薬 IV→内服へ切替
- 胸部X線で改善確認
- 酸素は3日目で不要に
- レボフロキサシン7日間で退院
- 1週間後に外来フォロー
- 発熱・呼吸困難再燃時は再受診]
看護記録と申し送り
勤務交代時の申し送りもAIで構造化できる。I-SBAR形式のテンプレート:
以下の看護申し送りテンプレートを作成して:
病棟:[病棟タイプ]
形式:I-SBAR
(Introduction-Situation-Background-
Assessment-Recommendation)
含めること:
- I:患者基本情報【 】
- S:現在の状態(入院理由、現在の状況)
- B:関連する既往歴、アレルギー
- A:バイタルの推移、主な所見、懸念事項
- R:次の勤務帯への申し送り事項、保留中の指示
1患者あたり3分以内で口頭伝達できる分量で。
安全上の注意(転倒リスク、隔離、特別な注意)を
目立つ位置に。
診療科別の記録
診療科ごとに記録のパターンは異なる。AIにその特性を伝える:
[診療科]の記録テンプレートを作成して:
当科の記録に必要な要素:
- [評価ツール:例 FIM/BI(リハビリ)、
GCS(救急)、NRS(疼痛)]
- [必須項目:例 創傷サイズ(形成外科)、
認知機能(老年科)、ADL評価(介護)]
- [制度上の要件:例 リハビリ単位数記録、
身体拘束の記録、褥瘡評価]
場面:[よくある診療場面]
✅ Quick Check: 自分の診療科で使っている標準化されたスケールや評価ツールはあるだろうか? あるなら、AIにそのスコア基準を組み込んだ記録テンプレートを作ると効率が上がる。
レビューワークフロー
AI活用の記録作成フロー:
- 診察する——臨床に集中し、要点をメモ
- テンプレートを選ぶ——該当するものをライブラリから
- AIでカスタマイズ(必要なら)——メモからドラフトを生成
- 丁寧にレビュー——臨床的な正確性を一つ一つ確認
- 修正して確定——電子カルテに転記、最終確認
よくあるレビューでの修正点:
| 注意点 | 対応 |
|---|---|
| AIが「異常なし」をデフォルトで入れる | 実際の所見に置き換え |
| 該当しないプラン要素が含まれる | 削除 |
| 施設の用語と微妙に違う | 施設の標準用語に統一 |
| 患者固有のニュアンスが不足 | 追記 |
レビューは省略できない。だが、構造化されたドラフトをレビュー・修正するのは、白紙から書くより常に速い。
時間を測る
最初の2週間、時間を記録してみよう:
| 日付 | 記録タイプ | AI未使用の所要時間 | AI使用の所要時間 | メモ |
|---|---|---|---|---|
テンプレートライブラリができてくると、記述的な記録で40〜60%の時間短縮を実感する医療者が多い。1勤務あたり1〜2時間——その時間を患者ケアに戻せる。
Key Takeaways
- 頻出する5〜10種類の記録のテンプレートを先に作る——最大の時間投資で最大のリターン
- 個人情報は匿名化し、仮想シナリオでテンプレートを作成する
- AIは構造と文章を担い、臨床的な正確性は医療者が担保する
- レビュー・修正のステップは絶対に省略しない
- 診療科固有の評価ツールやスケールもテンプレートに組み込める
- 時間短縮を実測し、効果を客観的に把握する
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