AIで読む決算書
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の読み方。AIで企業の財務健全性を数分で把握する方法。
🔄 Quick Recall: 前回のレッスンで株式・債券・ETFの基本を学んだ。今度は「情報に基づいた投資家」と「ギャンブラー」を分けるスキル——決算書の読み方を身につける。
決算書は怖くない
決算書は一見とっつきにくい。「減価償却」「繰延収益」「EBITDA」といった専門用語が並ぶ。でも実は、大半の企業を評価するのに理解すべき数字はほんの一握りしかない。
AIがこれを身近にしてくれる。企業の財務データをAIに渡せば、平易な日本語で分析結果が数秒で返ってくる。
3つの決算書
決算書は3つの異なる質問に対する3つの答え:
1. 損益計算書(P/L):「この企業は儲かっているか?」
売上高(売ったもの)
- 売上原価(作る/届けるコスト)
= 売上総利益
- 販管費(家賃、人件費、マーケティング)
= 営業利益
- 金利と税金
= 当期純利益(最終利益)
たとえ話: 個人の損益計算書は「給料マイナス生活費」。残りが貯金(またはマイナスなら借金)。
2. 貸借対照表(B/S):「この企業は何を持ち、何を借りている?」
資産(持っているもの)
= 流動資産(現金、在庫、売掛金)
+ 固定資産(不動産、設備、特許)
負債(借りているもの)
= 流動負債(すぐ支払うべきもの)
+ 固定負債(長期借入金、社債)
純資産 = 資産 - 負債(株主の取り分)
たとえ話: 個人の貸借対照表は、マイホーム・車・貯金(資産)から住宅ローン・カーローン・クレカ残高(負債)を引いたもの。差額が純資産。
3. キャッシュフロー計算書(C/F):「実際にお金はどこに動いている?」
営業キャッシュフロー(事業の運営から)
+ 投資キャッシュフロー(資産の売買から)
+ 財務キャッシュフロー(借入・増資から)
= 現金の増減
たとえ話: 銀行口座の明細。帳簿上の損益に関係なく、実際にお金が出入りした記録。
AIで決算書を分析する
会計士になる必要はない。AIを使えばいい:
以下は[企業名]の最新決算の主要数字です:
売上高:〇〇億円
売上総利益:〇〇億円
営業利益:〇〇億円
当期純利益:〇〇億円
総資産:〇〇億円
総負債:〇〇億円
営業キャッシュフロー:〇〇億円
以下を教えて:
1. この企業は利益を出している? 規模に対してどのくらい?
2. 売上は成長、横ばい、減少のどれ?
3. 財務的に健全(資産 vs 負債)か?
4. 帳簿上の利益だけでなく、実際に現金を生んでいる?
5. 気になる点やレッドフラグは?
6. 投資初心者向けにすべて平易な言葉で説明して。
最も重要な5つの数字
決算分析には何週間もかけられる。でも、この5つに集中すればいい:
1. 売上成長率 売上は増えているか?
- 安定成長 = 健全なビジネス
- 売上減少 = 警告サイン
- 前年同期比で見る(四半期比較は季節性に惑わされる)
2. 利益率 売上1円あたり、いくらが利益になるか?
- 売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高
- 純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高
- 利益率が高い = 効率が良い、価格決定力がある
3. 自己資本比率 企業がどれだけ自己資金で運営しているか?
- 自己資本 ÷ 総資産
- 40%以上が一般的に健全
- 製造業なら30%以上、IT企業なら50%以上が目安
4. フリーキャッシュフロー 営業キャッシュフローから設備投資を引いたもの。
- プラス = 実際に余剰キャッシュを生んでいる
- マイナス = 稼ぎ以上にお金を使っている
- 決算書の中で最も正直な数字
5. ROE(自己資本利益率) 株主の投資をどれだけ効率的に使っているか?
- 当期純利益 ÷ 自己資本
- 15%以上が一般的に優秀
- 同業種内で比較するのが原則
✅ Quick Check: ある企業が当期純利益10億円を計上しているのに、フリーキャッシュフローがマイナス5億円。心配すべき?
日本企業の財務データの見つけ方
| ソース | 何がわかるか | 最適な用途 |
|---|---|---|
| EDINET | 有価証券報告書(公式) | 正確で完全なデータ |
| 四季報オンライン | 企業分析、業績予想 | 概要の素早い把握 |
| Yahoo!ファイナンス | 株価、簡易決算 | 手軽なチェック |
| IR情報(各社HP) | 決算説明資料、中期計画 | 企業の戦略把握 |
| バフェット・コード | 財務指標の比較 | 同業他社との比較 |
ヒント: 「[企業名] IR」で検索すると、公式の投資家向けページが見つかる。
決算書のレッドフラグ
| レッドフラグ | 何を意味するか |
|---|---|
| 売上増なのに利益減 | コストが売上以上に増えている |
| 売上横ばいなのに借入増 | 成長のためでなく生き残りのための借金 |
| 純利益よりキャッシュフローが常に低い | 会計処理のアグレッシブさ or 回収の問題 |
| 「一時的な費用」の頻発 | 恒常的な問題を例外として偽装 |
| 在庫が売上より速く増加 | 商品が売れていない |
Key Takeaways
- 決算書は3つの問い:儲かっているか(損益)、何を持ち何を借りているか(貸借対照表)、現金はどこに動いているか(キャッシュフロー)
- 注目すべきは5つの数字:売上成長率、利益率、自己資本比率、フリーキャッシュフロー、ROE
- キャッシュフローは報告上の利益より正直——乖離があれば注意
- AIを使えば、手作業で何時間もかかる財務分析が数分でできる
- 必ず同業種内で比較すること——IT企業と銀行では「健全」の基準が違う
- 売上横ばいなのに借入増加、利益とキャッシュフローの乖離はレッドフラグ
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