レッスン 5 15分

リスクとの付き合い方

投資リスクを正しく理解し管理する。リスク許容度の評価、リスクの種類ごとの対処法、よくある行動バイアスの回避法を学ぶ。

🔄 Quick Recall: 前回のレッスンで分散投資のポートフォリオを組んだ。今回はすべての投資判断の土台にある概念——リスク——を深く理解する。

リスクは悪い言葉ではない

投資初心者は「リスク=お金を失うこと」と考えがち。それも一部は正しい。でも投資におけるリスクはもっと具体的な意味がある:将来のリターンの不確実性。リターンが非常に予測しやすい投資もあれば(低リスク・低リターン)、大きく振れる投資もある(高リスク・潜在的に高リターン)。

リスクを理解するとは、避けることではない。自分の状況に合った「適量」を選ぶこと。

投資リスクの種類

すべてのリスクが同じではない:

リスクの種類意味管理方法
市場リスク市場全体が下落(不況、危機)長期保有で乗り越える
集中リスク1銘柄の暴落がポートフォリオを直撃幅広い分散投資
インフレリスクリターンが物価上昇に追いつかない株式や実物資産を含める
金利リスク金利上昇で債券価格が下落債券の残存期間を分散
為替リスク外国資産が円高で目減り為替ヘッジの有無を選択
行動リスクパニックで最悪のタイミングに売る自動化して毎日チェックしない

リスク許容度を測る

リスク許容度には2つの要素がある:

経済的キャパシティ(耐えられるか?)

経済的なリスク許容度を評価して:

- 年齢:[X]歳
- 緊急資金:[X]ヶ月分の生活費
- 投資期間:[X]年(このお金が必要になるまで)
- 収入の安定性:[安定/変動/不安定]
- 借入:[多い/中程度/少ない/なし]
- 扶養家族:[人数]

これらに基づいて、現実的にどの程度の投資リスクを
取れるか分析して。理由も説明して。

感情的な耐性(眠れるか?)

正直に答えてみてほしい:

  • 明日ポートフォリオが20%下がったら、売る? 持ち続ける? 追加で買う?
  • どのくらいの頻度でポートフォリオをチェックする? 毎日? 月1回?
  • パニックでお金の判断をした経験は?
  • 30%の含み損が日常のストレスにどう影響する?

ルール: ポートフォリオのリスクは、経済的キャパシティと感情的耐性の「低いほう」に合わせる。30%の下落を経済的には耐えられても、感情的にパニックになるなら、パニックしないレベルまでリスクを下げる。

歴史に学ぶ:暴落は「いつも」起きる

出来事下落幅回復期間
コロナショック(2020年)-34%(S&P500)5ヶ月
リーマンショック(2008年)-57%(S&P500)約4年
ITバブル崩壊(2000年)-49%(S&P500)約7年
日経バブル崩壊(1989年)-82%(高値→安値)約34年

日本の投資家にとっての教訓: 日経平均のバブル崩壊は極端な例だが、これは1カ国の1指数に集中した場合の話。同期間に全世界株式指数は成長を続けた。だからこそ全世界分散が重要。

Quick Check: 「リスク許容度が高い」と自認する投資家が、ボラティリティの高い株に投資した。20%の下落でパニック売り。この人は本当にリスク許容度が高い?

リスクとリターンの関係

高いリターンの可能性には、必ず高いリスクが伴う。例外はない。

期待リターンのスペクトラム(過去の平均、保証ではない):

普通預金:        ~0.001-0.1%(リスクほぼゼロ)
個人向け国債:     ~0.05-0.5%(低リスク)
先進国債券ファンド:~2-4%(低〜中リスク)
全世界株式ファンド:~5-8%(中〜高リスク)
新興国株式:      ~7-10%(高リスク)
個別株:          大きく変動(非常に高いリスク)

「高リターンで低リスク」を謳う商品があったら、嘘か間違いのどちらか。

行動バイアスという罠

投資で最大のリスクは市場ではない。自分自身。

損失回避 — 損失は同額の利益の約2倍の痛みを感じる。1万円の損失は、1万円の利益の喜びよりはるかに辛い。結果、勝っている銘柄を早く売り、負けている銘柄を長く持ちすぎる。

近時バイアス — 最近の出来事を過大評価する。暴落後は「株は危険」、急騰後は「株は上がり続ける」と感じる。どちらも正しくない。

群集心理 — みんなが買っているとき買いたくなり、みんなが売っているとき売りたくなる。高値で買い、安値で売ることが保証される。

自信過剰 — 何度か当てると「自分は投資の才能がある」と思い始める。集中投資して大きなベットを打つ。現実が修正してくれるのはその後。

自分自身から身を守る方法

感情的な投資判断をしそうで不安です。
以下を含む投資ポリシーステートメントを作って:

1. 目標アセットアロケーション(冷静なときに決める)
2. 売る/売らないのルール
3. リバランスのスケジュール(感情を排除)
4. 市場が暴落したときにやること(具体的なアクション)
5. 市場が急騰したときにやること(具体的なアクション)
6. ファイナンシャルプランナーに相談すべきトリガー

感情が高ぶったときの「歯止め」として使います。

リスク管理の5つの戦略

  1. 分散投資(レッスン4で学んだ) — 資産クラス、地域、セクターに分散
  2. 積立投資 — 市場の状況に関係なく定額を定期的に。タイミングリスクを排除
  3. 生活防衛資金を先に確保 — 投資前に3〜6ヶ月分の生活費を現金で。個人的な緊急事態での強制売却を防ぐ
  4. 投資ポリシーステートメント — 冷静なときにルールを書く。冷静でないときにそれに従う
  5. 投資期間に合わせたリスク — 長期目標→株式多め(回復の時間がある)。短期目標→債券と現金多め(回復を待てない)

Key Takeaways

  • 投資のリスクとはリターンの不確実性のこと——確実な損失ではない
  • リスク許容度は経済的キャパシティと感情的耐性の2つ——低いほうに合わせる
  • 暴落は普通に起きるし一時的——パニック売りが一時的な下落を恒久的な損失に変える
  • 最大の投資リスクは行動面にある:感情に流されて高値で買い、安値で売ること
  • 投資ポリシーステートメントは、感情的な判断に対する最良の防御策
  • 「高リターン・低リスク」の約束は、すべて疑ってかかるべき

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レッスン6:市場分析と経済指標では、市場を動かす力を理解し、ニュースに振り回されない判断力を身につける。

理解度チェック

1. 投資における最大の行動リスクとは?

2. 「リスク許容度」が実際に測るものは?

3. 日経平均のバブル崩壊(1989年→2009年の安値)から日本の投資家が学ぶべき最大の教訓は?

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