こんにちは!
突然ですが、iPhoneの音声入力、普段から使っていますか?
標準のApple音声入力も悪くはないんですが……「えーと」「あのー」がそのままテキスト化されたり、句読点の挿入が謎だったり、文脈を汲み取ってくれなかったりします。結局、後から手直しする時間の方が長くなって「もう自分で打った方が早い」となりがちですよね。
そんな中、Wispr FlowやSuperWhisperといったAI音声入力アプリが登場しました。確かに便利なんですけど、月額$15(約2,200円)や$8.49(約1,300円)といった利用料がかかります。年間で計算すると2〜3万円。音声入力にそこまで月額課金するのかと考えるとなかなかハードルが高い。
そこに、Googleがとんでもないものを出してきました。
2026年4月6日、App Storeにひっそりと登場したのが Google AI Edge Eloquent です。完全無料。使用制限なし。しかもオフラインで動作します。
今日は実際に触ってみた感想と、有料アプリとの違いをまとめてみます。
Google AI Edge Eloquentって何?
一言でいえば、GemmaベースのオンデバイスAI音声入力アプリです。
GemmaはGoogleがオープンソースで公開しているAIモデル。Geminiの後継・軽量化版のような位置付けで、サイズは小さくても性能は非常に高いです。Eloquentはこのモデルを丸ごとiPhone上で動作させています。
つまり、音声データがサーバーに送信されないということです。処理はすべて端末内で完結するため、プライバシーに敏感な人にとっては、これだけで採用する価値があるでしょう。
ちなみに、Googleからの公式プレスリリースなどは一切ありません。App Storeにひっそりと追加されただけです。GIGAZINEやTechCrunchなどが報じて世間に知れ渡りました。こういう「黙って出す」スタイル、個人的には結構気に入っています。
ダウンロード: App Store
どうやって始めるの?
セットアップは驚くほどシンプルです。
- App Storeからダウンロード(無料、約300MB)
- マイクの許可 を設定
- 話し始める — これだけです
アカウント作成もサブスク登録も不要ですし、広告も表示されません。起動したらすぐに使い始められます。
ただ、一点だけ注意が必要です。現時点では日本のApp Storeに掲載されていない可能性があります。米国のApp Storeでは動作確認済みですが、日本リージョンのApple IDだとダウンロードできない場合、米国アカウントが必要になるかもしれません。
機能を実際に触ってみた
リアルタイム文字起こし
話した声がリアルタイムでテキスト化されます。遅延はほとんど気にならず、オフラインなのにこの処理速度には正直驚きました。
フィラーワード自動除去
「えーと」「あの」「um」「ah」といったフィラーワード(つなぎ言葉)を、発話の区切りで自動的に削除してくれます。
これが非常に便利。日常会話って意外にフィラーが多いもので、録音を文字起こししたことがある人ならわかると思いますが、後で読み返すと「え、こんなに言っていたの?」と驚くものです。
4つのテキスト変換モード
文字起こしが完了した後、テキストをワンタップで変換できます。
| モード | 内容 |
|---|---|
| Key Points | 要点を箇条書きで抽出 |
| Formal | ビジネスメール調に書き換え |
| Short | 文章を短く要約 |
| Long | 内容を膨らませて拡張 |
実は、これが最も強力な機能なのかもしれません。音声入力で得られるテキストは、まだ「下書き」の段階です。それをワンタップで文章として整えられるのは、地味ながらも革命的な体験です。
カスタム辞書 & Gmail連携
固有名詞や専門用語を独自辞書に登録できます。手動で追加することも可能ですが、Gmailアカウントから頻出ワードをインポートできるのが便利です。
例えば「Kubernetes」や「Next.js」といった技術用語、人名、社内用語など。これを事前に登録しておけば、認識精度が格段に向上します。
ワードカウント & WPMトラッキング
入力セッションごとに総単語数と「Words Per Minute(1分あたりの発話語数)」が記録されます。ライティングの生産性を数値で管理したい人にとっては嬉しい機能です。
オフラインモード vs クラウドモード
Eloquentには2つの動作モードが用意されています。
オフラインモード(デフォルト):
- GemmaベースのASRモデルをiPhone上で動作
- 音声データは端末外に一切送信されない
- インターネット接続不要
- プライバシー保護の観点で最強
クラウドモード(オプション):
- テキスト後処理にGeminiモデルを使用
- より自然な文章への変換が可能
- インターネット接続が必要
個人的には、オフラインモードで十分かなという印象です。飛行機内や地下鉄、通信制限下でも使えるのは大きなメリット。クラウドモードは「もう少し文章を整えたい」という時の選択肢として重宝しそうです。
できないこと(正直に書きます)
良いところばかり並べても不公平なので、現時点での制限を正直にまとめます。
英語のみ対応
これが日本語ユーザーにとって最大の壁です。
現時点で対応しているのは英語のみ。日本語の音声入力には使えません。日本はiPhoneのシェアが約50%と非常に高く、日本人の半数がiPhoneを利用している国です。そのため、日本語対応が実現すればインパクトは相当大きいはずです。ただ、今はまだ対応していません。
ただし、英語のメール作成や議事録作成、英語学習のスピーキング練習などに使うのであれば、今すぐ活用できます。
iOS限定(Android版は開発中)
App Storeの公開情報に「Android版」への言及があるため、開発中であることは間違いなさそうです。ただ、具体的なリリース時期は未定です。
キーボード統合なし
LINEやSlack、メモアプリなどから直接音声入力できるようなキーボード連携はまだ実装されていません。Eloquentアプリ内で文字起こし→コピー→貼り付け、という手順を踏む必要があります。
Wispr Flowが優れている点もまさにここ(どのアプリでもキーボードとして使用可能)で、現時点ではこの差がかなり大きいと感じます。
競合5アプリとの徹底比較
さて、本題です。有料の競合アプリとどう違うのか、表にまとめてみました。
| 項目 | Google AI Edge Eloquent | Wispr Flow | SuperWhisper | Otter.ai | Apple標準音声入力 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額料金 | 無料 | $15(約2,200円) | $8.49(約1,300円) | $16.99(約2,500円) | 無料 |
| 年間コスト | 0円 | 約26,400円 | 約15,600円 | 約30,000円 | 0円 |
| オフライン動作 | はい(デフォルト) | いいえ(クラウド専用) | はい(Apple Silicon) | いいえ | はい |
| AI文章整形 | はい(4モード) | はい | はい | 限定的 | なし |
| フィラー除去 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | なし |
| カスタム辞書 | はい(Gmail連携) | はい | はい | いいえ | いいえ |
| キーボード統合 | なし | あり(最大の強み) | あり | なし | あり |
| 対応言語 | 英語のみ | 英語中心 | 多言語 | 英語中心 | 多言語 |
| プライバシー | オンデバイス処理 | クラウド送信 | オンデバイス | クラウド送信 | オンデバイス |
| 対応OS | iOS | macOS | macOS/iOS | iOS/Android/Web | iOS |
| WPMトラッキング | あり | なし | なし | なし | なし |
ざっくりまとめると
- コスパ最強:Eloquent(無料で4つの変換モードまで用意)
- プライバシー最強:Eloquent & SuperWhisper(オンデバイス処理)
- 使い勝手最強:Wispr Flow(キーボード統合が圧倒的に便利)
- 会議特化:Otter.ai(話者分離や会議連携が充実)
- お手軽さ:Apple標準(追加アプリ不要、日本語対応)
あなたにとっての意味
「結局、どんな人に向いているの?」もう少し具体的に整理します。
英語でビジネスメールを書く人
海外クライアントとのやり取りや英文レポート作成に最適です。話しながら下書きし、Formalモードで整えれば完成。月額$15(約2,200円)のWispr Flowと同等の作業が、無料で完結します。
英語学習中の人
スピーキング練習に使えます。発した英語がリアルタイムでテキスト化されるため、発音のクセや弱点が一目でわかります。WPMトラッキング機能を使えば、スピーキング速度の伸びも数値で追えます。
フリーランスのライター・ブロガー
英語コンテンツを執筆している人に特におすすめです。音声でアイデアを吐き出し、Key Pointsモードで構成を整理し、Longモードで文章に展開。ライティングのワークフローが劇的に変わりそうです。
プライバシーを重視する人
日本はプライバシー意識が高い国ですが、音声データが海外サーバーに送信されるのが気になる人も多いはず。オンデバイス処理であればその点の不安がなく、機密情報を含むメモの音声入力にも安心して使えます。
今は向いてない人
- 日本語で音声入力したい人 → 現時点は英語のみ。Apple標準アプリかSuperWhisperを検討
- どのアプリでも音声入力したい人 → キーボード統合がないため、Wispr Flowが有利
- Androidユーザー → Android版のリリースをもう少し待つ必要あり
個人的に思うこと
Googleがこれを無料で公開してきたのは、業界にとってかなり大きなシグナルだと感じています。
Wispr Flowは月額$15(年間$180)、SuperWhisperも年間$100と、ユーザーはこれらのアプリに課金してきました。その背景には、Apple標準の音声入力では物足りなかったという実情があります。そこにGoogleが「オンデバイスAIで全てを完結させます、無料です」と参入してきた形です。
もちろん、現時点ではキーボード統合がない、英語のみ対応といった制限は残っています。でも、無料アプリに「完璧じゃない」と文句を言うのはフェアじゃないですよね。
実は、もっと注目すべきはこの先の展開だと思います。GemmaベースのオンデバイスAIがここまで出来れば、多言語対応、キーボード統合、Android版……Googleのリソースがあれば、時間の問題かもしれません。日本語対応が実現したら、かなりインパクトが大きくなりそうです。日本のiPhoneシェア(約50%)を考えると、市場への影響は計り知れないでしょう。
まとめ
まとめると、Google AI Edge Eloquentは「音声入力に月額課金するのが当たり前」という常識を覆すアプリです。
- 完全無料、使用制限なし
- Gemmaモデルによるオンデバイス処理
- フィラーワード自動除去
- 4つのテキスト変換モード
- Gmail連携のカスタム辞書
- WPMトラッキング
制限: 英語のみ、iOS限定、キーボード統合なし
英語の音声入力がメインであれば、まず試してみる価値は十分にあります。無料ですし。もし合わなければアンインストールすればいいだけ。日本語対応を待ちつつ、英語でのユースケースから始めてみるのが賢明な使い方でしょう。
ダウンロードはこちら: App Store
この記事が少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ソース
- GIGAZINE — Googleが無料で使える音声認識ツール「Google AI Edge Eloquent」をひっそりリリース
- TechCrunch — Google quietly launched an AI dictation app that works offline
- 9to5Google — Google AI Edge Eloquent is an offline voice dictation app
- HelenTech — Google、iOS 向け文字起こしアプリ「Google AI Edge Eloquent」を海外でリリース
- Android Authority — Google takes on Wispr Flow with new offline AI dictation app
- The Next Web — Google quietly releases free offline AI dictation app for iPhone
- Yahoo!ニュース — グーグル、iPhone向け無料音声入力アプリ公開 オフライン利用に対応
- Neowin — Google AI Edge Eloquent is a Gemma-powered dictation app that works offline